【徒然草 現代語訳】第三十七段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

朝夕へだてなくなれたる人の、ともある時、我に心おき、ひきつくろへるさまに見ゆるこそ、今更かくやはなど言ふ人もありぬべけれど、なほげにげにしくよき人かなとぞおぼゆる。

うとき人の、うちとけたることなどいひたる、またよしと思ひつきぬべし。

翻訳

平素より心置きなくお付き合いをしている人が、ひょっとした折に、どういうわけかこちらに遠慮してかしこまった振る舞いをしたりするのは、今さら水くさいではないかなどと云う人もいるが、むしろ誠実さの表れであって心ある方だなと思われる。

一方でさほど親密でもない人が、心の内を打ち明けたりする、これまたなかなかいいもんだと思ったりもするんだろうな。

註釈

○ともある時
「も」は強意。「とある時」の強調。

○げにげにし
「実に実にし」。もっともな、ふさわしい、実直だ。


親しくもなんともない人から、「実は……」とか「ここだけの話だけど……」とか云われるの、私は大の苦手ですけどね。


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