【徒然草 現代語訳】第三十九段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

或る人、法然上人に、念仏の時、睡にをかされて行を怠り侍る事、いかがしてこのさはりをやめ侍らんと申しければ、目のさめたらむ程念仏し給へと答へられたりける、いと尊かりけり。また、往生は、一定と思へば一定、不定と思へば不定なりといはれけり。これも尊し。また、疑ひながらも念仏すれば往生すともいはれけり。これもまた尊し。

翻訳

ある人が、法然上人に、念仏を唱えている時、ふと眠気に襲われお勤めを怠ってしまうことがございます、一体どうすればこの障碍を取り除くことが出来ますでしょうか、と申し上げたところ、目の覚めている間に念仏なさい、とお答えになられたという、なんとも尊い。また、往生がかなうか否かは、必ず出来ると信じていれば出来、出来るだろうか出来ないのだろうかと思っているとどうなるかわからない、ともおっしゃったそうだ。これまた尊い。他に、疑いつつもとにかく念仏を唱えていれば往生がかなう、ともおっしゃられたとか。これもまた尊いお言葉である。

註釈

○一定不定
確実不確実。


法然の人柄をうかがわせる好段。
この段は、後世の法然評に少なからず影響を及ぼしているんじゃないでしょうか。

オチがあるよでないよなシュールな四コマ漫画を読んでいるよう。
「或る人」が親鸞だったら愉快ですねぇ。


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