【徒然草 現代語訳】第三十五段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

手のわろき人の、憚らず文書きちらすはよし。みぐるしとて人に書かするはうるさし。

翻訳

悪筆の人が、あえて遠慮することなく平然と手紙を書きまくるのはいい。不細工だといって、人に書かせるのは鬱陶しい。

註釈


この段、なかなか意味深なんですよ、実は。
「太平記」に、足利尊氏の側近高師直に頼まれて、兼好法師が恋文を代筆した挿話があるんです。
無粋な権力者に対して、思うところがあったんでしょうね。

関係ありませんが、うちの弟は非道い悪筆でそれがずいぶんコンプレックスになっていたようなんですけど、私は彼の字が実直な人柄が出ていて好きだったので、下手でいいから大きな字を書けと子供の頃から叱咤激励してきました。今でもそれ(だけ)は感謝されています。


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