【徒然草 現代語訳】第九十四段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

常盤井相国、出仕し給ひけるに、勅書を持ちたる北面あひ奉りて、馬より下りたりけるを、相国後に、北面なにがしは、勅書を持ちながら下馬し侍りし者なり。かほどの者、いかでか君につかうまつり候ふべきと申されければ、北面をはなたれにけり。

勅書を、馬の上ながら捧げて見せ奉るべし、おるべからずとぞ。

翻訳

常磐井の太政大臣がご出仕なされた折、勅書を持った北面の武士がたまさか大臣をお見掛けいたし、その際すぐさま馬から降りたので、大臣は後に、北面の武士某は、畏れ多くも勅書を持ったまま馬から降りるようなことをする不届き者。そのような輩が、どうしてお上にお仕えできましょうや、と申された、結果その北面の武士は役を解かれたという。

勅書は、いついかなる場合であろうとたとえ誰であれ、馬上より掲げてお見せするもの、馬から降りるなどとはもってのほかなのだそうだ。

註釈

○常磐井相国
ときわいのそうこく。太政大臣西園寺実氏(さねうじ)。相国は太政大臣の唐名。京極常磐井に邸宅があったのでそう呼ばれる。後深草、亀山両天皇の外祖父として権勢を振るった。親鎌倉派の公卿。


ルールでがんじがらめにされるのが大好きなM気質の日本人は、その後、ルールから逸脱してさえいなければなにやったっていいじゃんという品性下劣な人種に見事な進化を遂げました。

追記

その中から更に昨今、ルールを守っていない奴を徹底的に取り締まり吊し上げる○○警察という職業に就く者も現れるようになっています。


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