【徒然草 現代語訳】第二十八段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

諒闇の年ばかりあはれなる事はあらじ。

倚廬の御所のさまなど、板敷をさげ、蘆の御簾をかけて、布のもかうあらあらしく、御調度どもおろそかに、皆人の装束、太刀、平緒まで、ことやうなるぞゆゆしき。

翻訳

天子が喪に服されお籠りあそばされる年ほど、寂しさの募る年はない。

最初に入られる仮御所などは、床板を低くし、蘆の御簾を掛け、御簾飾りの帽額も粗末な鈍色のもの、調度の品々も質素で、お仕え申し上げる者たちの装束、太刀、平緒にいたるまで常と異なるのは、厳粛きわまりない。

註釈

○諒闇
りょうあん。ろうあん、みものおもい、とも。天皇が両親ならびにそれに準ずる皇族の喪に服する期間。かつては一年だったが、後に十三日に改められた。

○倚廬
いろ。天皇が諒闇の期間にまず最初に入られる仮御所。

○帽額
もこう。御簾の上部の飾り。

○平緒
ひらお。装束の腰より袴に垂らす飾り紐。


天皇家は、質素を旨とするお家柄です。


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