【徒然草 現代語訳】第二百三十段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

五條内裏には、妖物ありけり。藤大納言殿語られ侍りしは、殿上人ども黒戸にて碁をうちけるに、御簾をかかげて見るものあり。たそと見むきたければ、狐、人のやうについゐて、さしのぞきたるを、あれ狐よととよまれて、まどひ逃げにけり。未練の狐、ばけそんじけるにこそ。

翻訳

五条の内裏には妖怪が棲むと云う。藤大納言殿がこんなお話をなされた。「ある日殿上人たちが黒戸の間で碁を打っていた時、御簾を掲げてじっと見ているものがいた。『誰だ!』と叫んで振り向けば、狐が人の真似をしてしゃがみ覗き込んでいたので、『ひゃ~、狐だぞぉ』と場がどよめいたため、狐は大慌てで逃げ去ってしまった。未熟な狐が化け損なったに違いあるまい。」

註釈

○五條内裏
五条大宮の内裏。亀山天皇が内裏とした。

○藤大納言
藤原為世とも藤原公明とも。兼行の歌の師でもあった為世が有力。

○殿上人
昇殿が許された五位以上の公卿、及び六位の蔵人。


私の好きな段のひとつ。
昔は妖怪なんてそこいら中にいたんですね。

追記

私の心のアニメベスト3は、「妖怪人間ベム」「海のトリトン」「科学忍者隊ガッチャマン」です。


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