【徒然草 現代語訳】第二百二十七段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

六時禮賛は、法然上人の弟子、安楽といひける僧、經文をあつめてつくりて、つとめにしけり。その後、太秦善觀房といふ僧、ふしはかせを定めて、聲明になせり。一念の念佛の最初なり。後嵯峨院の御代よりはじまれり。法事讃も、同じく善觀房はじめたるなり。

翻訳

浄土宗の六時礼讚は、そもそも法然上人の弟子であった安楽という僧が、経文から撰んだ文言を集めて作り上げたもので、お勤めの際に誦することにしたもの。その後、太秦善観房という僧が、節をつけて声明に仕立てたのである。ここに一念の念仏が始まったのだ。ちょうど後嵯峨院の御代であった。法事讚も、同様に善観房が始めたものである。

註釈

○六時禮讚
ろくじらいさん。日没、初夜、中夜、後夜、晨朝、日中と、一日を六つに区切り、折々に念仏を修するお勤め。

○安楽
別名遵西。美男かつ美声であったため、後鳥羽院の寵姫たちが出家し、院の怒りを買って最終的には処刑された。

○太秦善観房
うづまさのぜんこうぼう。伝未詳。

○法事讚
法事の際のお声明。


前段に続き、起源ネタ。
ただ、兼行はこう書き残していますが、この段の詳細についての確たる証拠はないようです。

追記

歌舞伎役者と坊さんの値打ちは八割方声色で決まると思うなぁ。


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