【徒然草 現代語訳】第二百八段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

經文などの紐をゆふに、上下よりたすきにちがへて、二すぢの中より、わなの頭をよこさまに引き出すことは、常のことなり。さやうにしたるをば、華厳院弘舜僧正、ときてなほさせけり。これはこの比やうのことなり。いとにくし。うるはしくは、ただくるくるとまきて、上より下へ、わなのさきをさしはさむべしと申されけり。ふるき人にて、かやうのこと知れる人になむ侍りける。

翻訳

経文などの紐を結わえる際に、上下から紐を襷掛けにして、二筋のうちの輪にした先端を横に向かって引き出すのが通常のやり方だ。にもかかわらず、そうしてあったのを、華厳院弘舜僧正は解いて結び直させたのである。「この結い方は当世風だ。実に鼻につく。きちんと結わうなら、ただ無造作にぐるぐると巻き、上から下へ輪の先を挟むだけでよい」と申されたという。さすがはご老体、こういったことを本によくご存じの方でございました。

註釈

○上下
読みは「かみしも」。

○華厳院
仁和寺の別院のひとつ。


社会人になって真っ先に教わったのがホッチキスの留め方でした。
ちなみに縦書き書類は右上、横書き書類は左上です。

追記

正しくは「ホッチキス」ではなく「ステープラー」だというのも、社会人になって初めて知りました。「ピンセット」ではなく「ツィザー」なのも。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です