【徒然草 現代語訳】第二百十段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

喚子鳥は春のものなりとばかりいひて、如何なる鳥ともさだかにしるせる物なし。ある眞言書の中に、喚子鳥なく時、招魂の法をばおこなふ次第あり。これは鵺なり。萬葉集の長歌に、霞たつながき春日のなどつづけたり。鵺鳥も喚子鳥のことざまに通ひて聞ゆ。

翻訳

喚子鳥はただ春のものとだけ云われ、いかなる鳥なのか詳細を記している書物はない。さる真言宗の書物に、喚子鳥の鳴く時に行う招魂鎮魂の作法が書かれている。この喚子鳥は、鵺、つまりトラツグミのことだ。万葉集の長歌では、「霞経つ長き春日の 暮れにける わずきも知らず 村肝の 心を痛み 鵺子鳥 うらなけ居れば……」などと続けられている。どうやら鵺鳥も喚子鳥に近しいもののようだ。

註釈

○喚子鳥
読みは「よぶこどり」。古今集で最大の謎とされている鳥。

○鵺
ぬえ。トラツグミ、もしくは身体は狸、顔は猿、手足が虎で尻尾が蛇の伝説上の生き物。


「鵺の鳴く夜は恐ろしい」ってキャッチフレーズがありましたね。

追記

横溝正史で一番好きなのは「獄門島」です。江戸川乱歩は「孤島の鬼」、クリスティも「そして誰もいなくなった」。そう云えば三島由紀夫も「潮騒」は好きですね、一番じゃないけど。私って「島もの」が好きだったんだー。


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