
神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。
原文
犯人を笞にて打つ時は、拷器によせてゆひつくるなり。拷器の様も、よする作法も、今はわきまへ知れる人なしとぞ。
翻訳
罪人を鞭打つ場合、拷問具に引き寄せ縛りつけるのがそのやり方。拷問具の様態も、寄せて縛る手順も、今や熟知熟練している人はいないという。
註釈
○犯人
読みは「ぼんにん」。
○笞
読みは「しもと」。竹の棒で作った鞭。
拷問でうひゃーって思ったのは、支那発祥の「蛇責め」。甕の中に罪人と無数の蛇を入れ、更に酒を大量に注ぎ込んで蓋をするというもの。主に女性を対象にした拷問で、日本でも戦国時代以降、殊にキリシタン弾圧の際には頻繁に用いられました。
日本オリジナルの拷問で唸ったのは「塩責め」。全身を斬りつけられ傷口に塩をたんまり塗り込まれるというもの。海に囲まれた国ならではの発想でしょうか。鼠小僧次郎吉がこの拷問を受け、気絶したそうです。
それはそーと。
国連の「拷問等禁止条約」が発効されたのは、なんと1987年。
しかも日本が批准加入したのは1999年なんですよ!
つい20年ほど前まで、国際法に照らしても拷問は黙認されていたんですねぇ。
追記
明治大学の博物館には拷問具のコーナーがあるそうですよ。