【徒然草 現代語訳】第五十五段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にもすまる。暑き頃、わろき住居は、堪へがたきことなり。
深き水は涼しげなし。浅くて流れたる、遥かに涼し。こまかなる物を見るに、遣戸は蔀のまよりもあかし。天井の高きは、冬寒く、灯暗し。造作は、用なき所をつくりたる、見るも面白く、萬の用にも立ちてよしとぞ、人の定めあひ侍りし。

翻訳

家を造るなら、断然夏向きにすべきだ。冬はいかなる場所であろうと、その気になれば住めないことはない。真夏に建て方のまずい家は、とうてい住むに堪えない。
遣り水が深く流れたのでは、涼味が感じられない。浅くさらさらと流れるのが、よほど涼しげである。細かいものを見るなら、遣戸の方が蔀戸よりずっと明るい。高い天井は、冬は寒く、灯りがどうしても暗くなる。造作自体を云うなら、不用なところをちゃんと作っておくと、見るぶんにも楽しいし、いざという時いろんな用途に使えていいと、どなたかが評されたそうですよ。

註釈


京都の夏は地獄ですからねぇ。


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