
神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。
原文
ひとり燈のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなうなぐさむわざなる。
文は、文選のあはれなる巻々、白氏文集、老子のことば、南華の篇。この國の博士どもの書けるものも、いにしへのは、あはれなること多かり。
翻訳
独りの夜、燈火の下で書物を広げ、会うことのかなわぬかつての文人たちを友とするのは、何ものにも替えがたい慰めとなる。
書物と云えば、文選の味わい深い巻々、白氏文集、老子、荘子の言葉等々。本朝の学者たちのものした書物も、昔のものには感じ入ることが多々ある。
註釈
○文選(もんぜん)
春秋時代から六朝時代にかけての詩歌、散文を集めた書。
○白氏文集(はくしもんじゅう)
白楽天の詩文集。
○南華の篇
荘子の書。
この段は、肝に銘じています。