【徒然草 現代語訳】第百八十六段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

吉田と申す馬乗の申し侍りしは、馬ごとにこはきものなり。人の力、あらそふべからずと知るべし。乗るべき馬をばまづよく見て、強き所弱き所を知るべし。次に、轡、鞍の具に、あやふきことやあると見て、心にかかることあらば、その馬を馳すべからず。この用意を忘れざるを馬乗りとは申すなり。これ秘蔵のことなりと申しき。

翻訳

吉田と申します馬乗りの申しましたことには、「いかなる馬であろうと一頭一頭手強いもの。人の力で制御出来るものではないと肝に銘じておかねばならない。自分の乗る馬をよくよく観察し、長所短所をしっかり把握することが肝要だ。同時に轡、鞍といった馬具にも不備はないか入念に点検し、気になる箇所があればその馬は走らせてはならない。こういった注意事項に怠りない者を馬乗りと云う。これが秘訣である」、とのことでした。

註釈


特に「秘訣」ってほどのことでもないように思えますので、兼好目線ではたぶん嫌味でしょうね。


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