【徒然草 現代語訳】序段


つれづれなるまゝに日暮らし、硯に向ひて、心に移り行くよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、怪しうこそ物狂ほしけれ。

この一文を知らない人はまずいないでしょう。
云わずとしれた「徒然草」の序段です。

一方で「徒然草」が全何段かと問われたら、序段を含め244段だと即答出来る人は存外少ないような気がします。文学史的にも、成立はなんとなく鎌倉時代中期頃と憶えている人が多いかと思いますが、正確には中期から後期にかけて、書き手の気分の上では南北朝時代と見るべきです。

「仁和寺の法師」を筆頭に、教科書、入試に取り上げられることの多い「徒然草」ですが、撰ばれるのは内のせいぜいが20段程度、私の周りにも、全段通して読み通した人は知る限り二人しかいません。文庫本にして150ページ足らずの分量なんですけどね。

実は私、「徒然草」が大好きなんですよ。
はっきり云ってかなり影響受けてると思います。三島由紀夫と同等かそれ以上に。
大学時代に通読し、爾来鞄には読みかけの長編小説と「徒然草」(角川文庫版/今泉忠義譯註)をしのばせ、移動時間、待ち時間と気分に応じて読み分けています。
現代語訳は数多ありますが、来年還暦を迎えるにあたり、好きがこうじて一度自分で訳してみたいと先日ふと思い立ちました。

よろしければしばらくお付き合いください。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です