【徒然草 現代語訳】第七十九段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

何事も入りた立たぬさましたるぞよき。よき人は、知りたることとて、さのみ知り顔にやはいふ。片田舎よりさし出でたる人こそ、萬の道に心得たるよしのさしいらへはすれ。されば世にはづかしきかたもあれど、みづからもいみじと思へるけしき、かたくななり。
よくわきまへたる道には、必ず口重く、問はぬ限りはいはぬこそいみじけれ。

翻訳

何事においても不案内を装っている方がいい。出来た人なら、たとえ知っている事柄であっても、そこまで知ったふうな口を利くだろうか。田舎出に限って、物知り博士のような受け答えをする。たまに聞いているこっちが恥じ入ってしまうような時もなきにしもあらずだが、田舎もんは夜郎自大なところがありいっぱし気取りなので、そこがなんとも見苦しい。
熟知していればしているほど、固く口をつぐみ、訊かれない限りこちらからは喋らないのが奥ゆかしさというものだ。

註釈


なんでも知ってる人って、いつも何か足りないと感じていましたが、それがセックスアピールだということに30代の頃気付きました。

追記

♪知っているのに知らんふり~、って小松政夫さんはやっぱ偉大だなー。


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