【徒然草 現代語訳】第八十八段


神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

或者、小野道風の書ける和漢朗詠集とて持ちたりけるを、或る人、御相傳、うけることには侍らじなれども、四条の大納言撰ばれたる物を、道風書かむこと、時代やたがひ侍らむ。覚束なくこそといひければ、さ候へばこそ、世にありがたき物には侍りけれとて、いよいよ秘蔵しけり。

翻訳

ある者が、小野道風が書いた和漢朗詠集だと云って所持していたものを、ある人が、御当家伝来の品、なにがしかの根拠がおありでしょうが、四条大納言殿が編纂なされたものを、道風が書いたとなると、いささか時代の平仄が合わず若干怪しむべきところがあるように思われるのですが…….、そこは如何でしょうかと遠慮がちに云ったところ、そこですよ!だからこそ世にも稀なる珍品なのでございます、と胸を張り、ますますもって珍重秘蔵したという。

註釈

○小野道風
三蹟の一人。小野篁の孫。966年没。

○四条の大納言
藤原公任(きんとう)。当代きっての文化人。「和漢朗詠集」の編者。966年生まれ。


むちゃくちゃでんがな。
骨董界あるあるですけどねー。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です